海地獄の睡蓮

別府温泉には地獄が沢山ある。地獄めぐりと称してその地獄を楽しめるというのだから奇妙な話しだ。青い色の海地獄や赤い色の血の池地獄、他にもまだまだある。その海地獄に行った時、その傍らに大きな池があって、色とりどりの睡蓮が華やかに咲いていたので、海地獄の撮影そっちのけで、夢中で写真を撮っていた。池の随分手前には柵があり、睡蓮に近づいて撮影したいとは思いながらも、もちろん柵の外側から撮影していたのだが、あまりにも時間をかけて撮影していたからなのか、一人の男性が声を掛けてきた。「そんなに睡蓮が好きなのか」と。その男性は出で立ちからここの庭師のようで、「そんなに好きなら柵の中に入って自由に撮っていいよ」と言ってくれ、その好意に感謝して庭師と談笑しながら睡蓮に近づいて撮影することができたのだが、ふと後ろを振り返るとその庭師はいつの間にか立ち去っていた。柵の外側の歩道を歩く観光客から冷たい視線を感じ、そうそうに撮影を切り上げたのを思い出す。

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